読売新聞の「緊急地震速報」の記事への批判が朝日新聞に掲載される
今月14日に発生した、岩手・宮城内陸地震について
このような記事が当日の読売新聞に掲載されました。
「緊急速報」間に合わず、震源付近で揺れの数秒後
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080614-OYT1T00458.htm
この記事に対して、23日付の朝日新聞夕刊に掲載された
「池上彰の新聞ななめ読み」というコラムが
「無意味な批判記事」だと批判していました。
筆者は元NHK記者でジャーナリストの池上彰氏です。
問題とされた記事はこちら。
「緊急速報」間に合わず、震源付近で揺れの数秒後
昨年10月からの本格運用以来、3度目の発表となったが、震源が陸域内部で深さ約8キロ・メートルと浅い直下型地震だったため、震度6クラスの揺れがあった震源付近の岩手県南部などでは、速報は揺れ始めた数秒後に出され、速報の技術的な限界が浮き彫りになった。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080614-OYT1T00458.htm
より抜粋
この記事の見出しと太字の部分に対して、
このコラムはこう批判しています。
当日の読売新聞夕刊3面には、「緊急速報間に合わず」という大きな見出しが躍りました。
(略)
おいおい、ちょっと待てよと思ってしまいました。緊急地震速報は、最初の揺れを察知して出されるもの。震源地で揺れが起きて初めて速報は出すことが可能です。震源付近では、そもそも揺れが起きた後に出るものなのです。
これは最初からわかっていることなのに、「技術的な限界が浮き彫りになった」と批判する記者は、このシステムの原理をきちんと理解していたのでしょうか。
(略)
朝日新聞夕刊には、こんな無意味な批判記事はありませんでした。なんでも批判すればいいわけではないのです。
(2008年6月23日 朝日新聞夕刊より抜粋)
私もこの意見にはうなずけます。
ただし、この読売の記事の問題点は、その内容以上に
見出しの付け方がよくないことにあると思います。
というのも、このコラムでも指摘しているのですが
読売の同じ記事の中では、速報が役立ったケース
についても触れているからです。
◆震源から100キロ、仙台は5秒前に受信
震源付近では間に合わなかったが、震源から約40キロ以上離れた地域では、発生から4秒後以降に揺れが到達しており、強い揺れの前に緊急地震速報が間に合い、被害軽減に役立つケースもあった。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080614-OYT1T00458.htm
より抜粋
この辺まで読めば読者も正しく理解できるのですが、
余計な見出しをまず目にする読者は
ミスリードされてしまいそうです。
もしかすると、記事の見出し担当者は
記事を書いた人とは別人で、
この見出し担当者が緊急地震速報のことを
十分に理解していないのかもしれません。
このように、新聞の見出しは必要以上に
センセーショナルに付けられ、
記事の内容を正しく表していない場合があるので、
読者も見出しの印象だけで
反射的に反応するのは気を付ける必要がありそうです。