日経MJに「初音ミク」生みの親、伊藤博之氏のインタビュー特集
日経MJのサイトによると、今日1/16の紙面で、
「初音ミク」の生みの親である、クリプトン・フューチャー・メディアの
伊藤博之社長へのインタビュー特集が載っているようです。
コンピューターの仮想空間で歌う歌手「初音ミク」がヒットしている。昨年8月に発売されたパソコンで作詞作曲・演奏できる「DTM(デスクトップミュージック)ソフト」で、利用者が自由に作った曲を人の声で歌わせることができる。インターネット上には初音ミクの歌声や映像の様々な作品があふれている。開発したクリプトン・フューチャー・メディア(札幌市)の伊藤博之代表取締役に、ヒットの理由を聞いた。
[2008年1月16日付]http://www.nikkei.co.jp/mj/(http://s04.megalodon.jp/2008-0116-1253-49/www.nikkei.co.jp/mj/:TITLE=ウェブ魚拓)
ということで読んでみました。
(初音ミクの作成にあたって最も気を配った点は)
「楽器だったら簡単に思い描けるが、シンガーは多種多様すぎてイメージがわきにくい。そこで、16歳の女の子、名前は『初音ミク』というキャラクターを設定した。身長158センチ、体重42キロ。このイメージに合わせてイラストをデザインした」
「ここまで細かな設定にこだわったのは、作り手側の我々と利用者との間で“コンセンサス”を得るため。ただ、決してバーチャルアイドルを作ろうとしたわけではない。作り手側の意図と、利用者側の自由な発想の架け橋となる共通したイメージがあるほうが、より世界が広がり、受け入れられると考えた。」
(最初に声優を起用した理由は)
「最初はプロの歌手が良いと考え、様々なアプローチを重ねたが、OKが出ない。歌手は自分のクローンが作られるようで協力を嫌がった。そこで発想を変え声優を起用した。所属事務所の協力を得て、数百の声優の声を聴いて絞り込んだ」
(動画サイトにファンが投稿した作品がヒットの火付け役となっている)
(略)「メディアの消費の仕方が明らかに変わってきている表れだと思う。今動きが強くなっているのはクリエーション型。自らがコンテンツを作り発信する。ブログは日本が世界で一番数多く、CGM(消費者が作り出すメディア)大国だ。特別な才能がなくとも、人間はコンテンツを創造し発信するのが願望であり欲求だ。初音ミクはそうした欲求にこたえたのだと思う」
(こうしたソフトがふえることで著作権上の問題はないか)
「当社のイラストに関していうと、商用利用でなければ二次改変も認めている。昨年12月に音楽やイラストを投稿できる『ピアプロ』と呼ぶサイトを自前で開設した。リナックスのオープンソースの考え方に近い。ただ、今後は著作権のあり方そのものが変わってくるだろう」
当初は本職の歌手を起用しようとしていたようですが、
断られたことが結果として良いほうに転がった一例かもしれませんね。
これまでの初音ミクの出荷データについては、
初音ミクの出荷本数は累計2万7000本。調査会社BCNの調べでは、サウンド関連ソフトの数量シェアを初音ミクが昨年9月に37%、10月に58%を占めた。
ということで、シェアの6割近くまでいっているそうです。
また、クリプトン・ヒューチャー・メディア社については、
2007年6月期の売上高は5億3300万円とのデータが載っていました。
初音ミク効果で2008年6月期の業績はどれほどになるのでしょうか。
私は音楽については全くの素人なので、
的外れなことかもしれませんが、
「初音ミク」や「鏡音リン・レン」といった“ボーカロイド”が
この世に登場したことによって、彼女たちが
多種多様にわたる楽曲についての、
ある種の「ものさし」が出来たという印象です。
様々な楽曲を一般の歌手がそれぞれ歌うのが、
チームごとに最新鋭のパーツで作られたマシンで競われる
F1レースだとすれば、「初音ミク」「鏡音リン・レン」は、
共通のマシンを使って争われるワンメイクレースのようなものでしょうか。
近い将来、音楽の賞に「初音ミク部門」「鏡音リン・レン部門」が出来たら面白そうです。