メディアまでもが誤解するホワイトバンド・プロジェクト
先日の日記でも触れたが、
一部で問題視もされているホワイトバンドの活動にもいえることが、
その支援活動に賛同するか、別の支援方法を選ぶのか、
「支援活動の中身」について一度よく確認してみよう。
確実に支援を届けるために - [ 悠 々 日 記 ]
という「支援活動の中身」について、
大手メディアに誤解を招きかねない記事が掲載された。
貧困根絶 三つの花模様、キャンドル300本点灯 大阪
貧困などで「3秒に1人の子供が死んでいる」ことを示す三つの花模様(アスタリスク)が10日、大阪市北区の淀川河川敷広場に並んだ。貧困根絶を願う世界同時行動「ホワイトバンド・デー」の一環で、キャンドル300本が点灯した。
ホワイトバンドは、アスタリスクを刻む白い腕輪で1個300円。身に付けることで、NGOなどが取り組む貧困根絶運動への賛同を表し、購入費の一部は貧しさにあえぐ国に贈られる。
03年のユニセフ調べによると、貧困などで死亡した5歳未満児は約1060万人。00年の国連会議は、2015年までの貧困半減を掲げたが、各国の足並みがそろわない状況が続いている。
【平川哲也】
毎日新聞(スナップショット)
「ホワイトバンドの購入費の一部は貧しさにあえぐ国に贈られる」と
説明されているが、これは活動内容を正しく説明していない。
プラセンタ、塗るか食べるか によると
300円(税込)のうち消費税5%分を除いた286円の内訳は
40% = ホワイトバンド流通費
30% = ホワイトバンド原価及び製作経費
30% = 世界の貧困をなくすための活動費
(ホワイトバンドの内訳目安と使途(PDF))
であり、売り上げのうち30%が活動費であると説明されている。
ただし、この活動費の内訳は
・広報活動費
・媒体費
・イベント制作費
・WEB製作・メンテナンス費
・政策研究・調査
・アドボカシー活動 (アドボカシー:主張。弁護。特に,権利擁護の主張。goo辞書)
・市民社会組織のネットワーク構築
・貧困の解消に向けた取り組みに関する啓発活動
と説明されており、
購入費の一部を貧しさにあえぐ国に贈られるような項目は含まれていない。
そもそも「世界の貧困をなくすための活動費」としてはあるが、
その内訳に「現地での支援活動」が入っていないことに驚いた。
これは、このように説明されている。
この、「世界の貧困をなくすための活動」は、現地での支援活動ではなく、途上国から先進国に富が流れてしまうような構造や、貧困からの脱却のために努力する人々やNGOの活動を台無しにしてしまうような政治や経済の仕組みを変えるための活動です。
つまりのこと、「世界の貧困をなくすための活動費」とは、
いわゆる「ロビー活動」なのではないだろうか。
ロビー活動
政治的決定に影響を及ぼそうとして,議員・官僚・政党などにはたらきかける院外活動。特にアメリカのものをいい,世論の形成・動員までも含める。
の意味 - goo国語辞書
詳しい活動実態を知らないので、これは推定の域を出ないが。
しかし、“日本での「ホワイトバンド・プロジェクト」”の活動内容の中に
「現地での支援活動」が入っていないことは事実のようだ。
したがって、毎日新聞の記事中における、
「ホワイトバンドの購入費の一部は貧しさにあえぐ国に贈られる」との説明は
活動内容を正しく表してない。それどころか、
「ホワイトバンド・プロジェクト」への誤った印象を読者に与えかねない。
“日本での「ホワイトバンド・プロジェクト」”は
世界の貧困をなくすための「現地での支援活動」ではない。
そのことの注意を喚起する意味もこめて、敢えて取り上げてみた。