[ 悠 々 日 記 ]/ YUYUKOALAのブログ

コアラのように悠々と日々暮らしたいと考えている、とある人の日記です

朝日新聞の書評で『ちはやふる』は「末次由紀にとっても、見事な復活戦である」と評される

14日の朝日新聞夕刊に掲載されたマンガ書評に、
末次由紀の『ちはやふる』が取り上げられていました。
その書評の中で、評者の藤本由香里がこの作品を
「一度は挫折した作家・末次由紀にとっても、見事な復活戦」だと
記していました。
 

 

週刊コミック★ジャック 「ちはやふる末次由紀
まっすぐさと情熱と 藤本由香里
 
 息を吸う。息を吐く。集中する。身じろぎもできない緊張。ヒロインは思う──"お願い。だれも息をしないで"──札が読み上げられる。<ち…──>その瞬間、かるたの札が宙に舞う……。
 末次由紀ちはやふる』。
 今年、百人一首の競技かるた大会で、史上最年少19歳の永世クイーンが誕生した。『ちはやふる』は、まさにその「スポーツとしての競技かるた」を題材に扱った数少ないマンガである。だが、物語の基本は、名人戦やクイーン戦などの個人戦ではなく、団体戦。それも男女混合の団体戦。舞台は小学校から始まる。
 中心となるのは、新(あらた)、太一、そしてヒロインの千早の3人。そこにまた、さまざまな個性の子どもたちがからむ。小学生である彼らは、ときにいじけ、プレッシャーからズルをし、ぶつかり合い、また伸直りする。一つの対象に向かう、すがすがしいまでのまっすぐさと情熱。
 人に「かるたなんて地味。ダサい」と言われても、自分にとってほんとうに気持ちいい、手応えがある対象との出合いが、その対象に向かって一緒に進んでいける仲間との出会いが、いかに子どもを変え、前に進む力を与えるかと思う。ここにあるのは、まさに純粋な「友情・努力・勝利」の物語なのだ。
 たとえ一度失敗しても、挫折しても、あきらめずに思い続けるまっすぐな情熱と、復帰を待っていてくれる人がいれば、人はまた立ち直って歩き続ける。これは、一度は挫折した作家・末次由紀にとっても、見事な復活戦である

 
古傷をえぐる話で申し訳ないのですが、
末次由紀の名前を初めて知ったのは、
2005年の作画トレースによる盗作問題の報道でした。
その際、連載作品の打ち切り、単行本全ての絶版回収という
講談社の厳しい裁定によって、当時の私は思いました。
この作者はもう業界でやっていくことはできないだろう、
描きたくても描かせて貰えないだろう、と。
 
その末次由紀が活動を再開している事と知ったときは、
末次由紀の復活を正直なところ驚きました。
 
この書評に書かれた最後の一文は、
この作品の持つ意味を見事に言い得ています。
ちはやふる』はまさしく末次由紀の復活戦です。
 
今日は良い書評を目にすることができて良かったです。
 
ちはやふる
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