[ 悠 々 日 記 ]/ YUYUKOALAのブログ

コアラのように悠々と日々暮らしたいと考えている、とある人の日記です

漫画家・絵師の安倍吉俊氏、身内の著作権認識について考えさせられる

漫画家でイラストレーターの安倍吉俊さんが、
身内の著作権認識についての体験談を書いています。

デジタル関係の常識の格差


 誰もが常識だと思っているような事も、おかんの世代には通用しない。


 実家から電話がかかってきた。でると母親からで、『お前にもらったiPodがうまく動かなくなった』との事。
 話を聞いて見ると、自分では使い方が分からないので、友達の息子さんにiPodを渡して音楽を入れてもらっていたとの事。それが、最近また新しい音楽を入れてもらおうとしたら、できないと言われたらしい。


 確かに、この間実家に帰った時、別なユーザーの音楽が入っていた。しかし、自宅のiBookiTunesの使い方を教えたところ、Podcastの落語を入れたいというので、自宅のiBookと同期させるなら、この知らない人の入れた音楽は消えてしまうがいいか?と聞いたらいいといっていたはず。コピー防止のために一人のユーザーのデータしか入れられないという説明もしたと思う。


 しかし、母親はそんな事は完全に忘れていて、というか最初から理解しようという気すらなかった様子で『友達の息子さんに、また新しい音楽を入れてもらおうとしたら、できないといわれた』と息巻いている。
 もう一度コピー防止のために一台のiPodには一人のユーザーの音楽データしか入れられないのだという事を説明したが、やはり理解しない。
自分が買ってもいないCDの音楽を入れるのは違法だから』といったら『そんなバカな話があるか!』とキレられた。………そんな馬鹿な


 著作権を侵害してもいいと思っているわけではなく、そもそも著作権なんてものがある事すら理解していない。理解しようという意志も全くない。説明しようとしたら『お前の話は分からない』と一方的に電話を切られた。
 多分もうあのiPodは使われないのだろう。


http://homepage.mac.com/abworks/iblog/C1529876554/E20061215042615/index.html:TITLE

こんな事があったようです。

 これは特殊な例じゃなくて、わりとごく当たり前の事なんだと思う。いい年をした社会人が会社のPCでファイル共有ソフトを起動してデータを流出させる事件とかも、『タダで音楽とか映画とかソフトが手に入るらしい』というような噂を聞いた時に、コンピュータやネットに関する知識レベルが低すぎて(あと法律に関しても)、問題点や危険性を自分の経験からでは判断できない事が原因なのだろう。そして、そういう行為をした時に、自分が著作権を侵害している、という事は想像すらしない。そういう意識レベルの人達が、実は多数派なのかもしれない。(Winnyで情報漏洩している組織の中に警察とか自衛隊とかがあるのはどうかと思うけど)


 僕は、音楽業界はiTunes Storeのようなネット配信に対して腰が引けすぎていると思っていたけど、母の態度を見ていてその理由が何となく分かった。僕はずっと、違法と分かっていながら音楽をコピーするのはあるていど覚悟がいる事だから、iPodのようにCDより便利なツールとCDより安価なネット配信システムがあれば、そういう人達も大多数は音楽をネットで買うようになるのではないかと思っていたけど、そもそも音楽のコピーが違法だと知らない、理解しない、学ぼうともしない、という層が多数派だとしたら、そういう人達はまったく悪意なく、一番金のかからない手段で音楽を得ようとするだろうし、そういう人達にとってデジタルミュージックプレイヤーは『誰かが買ったCDをタダでコピーしてこれる便利な道具』でしかないだろう。


 MDやカセットの時代は人々にモラルがあり、デジタルミュージックプレイヤーの時代になったら人々のモラルは低下したのか?そうではなく、モラル自体が多くの人には始めから存在していなくて、MDやカセットは、ただ『面倒くさい』という理由だけで便利なコピーツールになれなかったに過ぎない。


 新品のiPodは『音楽を盗まないでください』と書かれたフィルムで包まれている。でも、この言葉には意味がない。多くの人達にとって、『音楽を盗む』と『誰かのCDを借りてデジタルミュージックプレイヤーにコピー』は、全く結びついていないのだから。


………極論かなあ。でもそんな風に思いましたよ。


http://homepage.mac.com/abworks/iblog/C1529876554/E20061215042615/index.html:TITLE

私には何ら判断する材料も根拠もありませんが、
ここで書かれた推測は的を射ている様に思えます。


音楽データを扱う、大多数のユーザーには
「モラル自体が」「始めから存在していな」いものであって、
ユーザーのモラルなんかに初めから期待してはいけない、
ということなのでしょうか。