[ 悠 々 日 記 ]/ YUYUKOALAのブログ

コアラのように悠々と日々暮らしたいと考えている、とある人の日記です

押井守監督「アニメーションを見るだけが生きがいって、それで本当にいいのか」

またまた押井守監督についての話です。
 
読売新聞を購読していると届けられる(のだと思う)
広報誌「Yomy」8月号の特集に「夏の2大アニメを見逃すな!」と
題した記事がありました。
2大アニメというのは、読売新聞の記事ですので
当然「崖の上のポニョ」「スカイ・クロラ」の2作品のことです。
記事では、「ポニョ」について鈴木俊夫プロデューサーに、
スカイ・クロラ」について押井守映画監督
それぞれインタビューした内容が載っていました。
 
ポニョの話は他の媒体でも多数載っていると思うので、
ここでは押井守監督のインタビューについてとりあげてみます。

 
(以下「」内が押井守監督のお話の内容)

「今、若い人たちに伝えたいことがある」
「これが若い人たちに何かを伝える最後のチャンスかもしれない」
 
「小学生でも、40歳ぐらいの人間でも、日本の今の現実を生きるのはしんどいな、というのはあるはず。何となく先が見えない、これからどう生きたらいいんだろうと考えている人がいっぱいいると思うんです」
 
そんな中、「これから世の中に出て行こうとしている人たち」に向けて作品を作った。その最たる理由は、自身の人生が転機を迎えている、と感じたことだという。 「人生一巡りしたというか、結婚もしたし、こどもも作ったし、離婚もしたし、娘も嫁に言ったし、世の中で一番愛した犬も死んじゃったし、いろいろ考えると、ああ1周しちゃったんだなって」
「これから僕が責任を持つとしたら、奥さんにだけなので、これからは好きに生きようと思った。そして、そうなったときに初めて、これから1周始めようと思っている人間に対して、何かささやいてもいいのかな、と思ったんですよ。『多分、何もないぜ。何もないけど、走ってれば気がつくことがある。おれはこれから2周目だけど、がんばって走れば』、って」
 
実は、前作『イノセンス』が終わったとき、 「これ以上やることない、これ以上のものが作れる気もしない」と思ったことがあるという
それが変わったのは、やはり2周目に入ったから。 「結局、監督って、これが最高というものを作って終わる仕事じゃないんですよね。これからも先も延々と作るんだっていうことですよ
そして、自分にとって何が一番楽しいのかを、素直に試し始めた。 「今まで自分は頭で作ってきたけれど、これからは身体にしたがって作ろうと」
 
「映画の中の女性というのは、おおむね男にとってそうあって欲しいという願望になってしまう。特にアニメーションはそういう傾向が激しいんですよ。顔まで全部描いちゃうから。でも、今の気分で言えば、そういう幽霊みたいな存在を相手にするのではなくて、やっぱり現実にかかわるほうがはるかに面白いし、そこから出てくる映画も、きっとあるはずだと」
「恋愛は、生きることの本質があからさまに出てくる。だから、それをモチーフとして描いた。しんどいことのほうが多いのだけれど、だからといって恋愛をさけて情熱のかけらもない人生をおくるのか。うちに帰って一人でハードディスクにため込んだアニメーションを見るだけが生きがいって、それで本当にいいのかって
 
アニメーションとしての進化も見どころの一つだ 「かなり大変なことをしました。自己評価でいえば、かなりやれたなっていう気はしているし、ここまでやった作品ってないだろうって自負もある」
「表現というのは技術に左右されず、本質的にあるものだと思いたい気持ちもよくわかる。でも、今、可能な表現を基本にものを考えていくということをしなくなっちゃったら、たぶん僕らの仕事は成立しないし、エンターテインメントであり続けることは出来ないと思う」
 
「理想を言えば、1周目からですけれどね。要は、どれだけめいっぱいのところで生きたか、情熱を持って何を生きられたか、ではないかと」
 
(「Yomy」2008年8月号より抜粋)

 
なんだか、私も含めた我々おたくにとって、
とても耳の痛い内容を押井守監督は仰っていたようです。
 
要は今風で言うといい意味での「リア充」ってことなのかな。
自分は「今」に対して、どれだけ情熱を持って生きているのか
深く考えさせられたインタビューでした。